2013年6月7日(金)付、毎日新聞(西部朝刊)22面、ふくおか探索コーナーにて
当社の製品や工場・牧場、取り組みなどが掲載されました。
毎日新聞 2013年06月07日 西部朝刊
ー以下、新聞より引用ー
ふくおか探索:牛乳にこだわり一貫出荷 筑前町・永利牧場、地元で愛される昔の味
◇1日3万リットル、小中200校以上に配送
福岡にもこんな牧場があるんだ--。福岡市中心部から車で約40分、筑前町の永利牧場に驚いた。牧場を経営する永利牛乳(太宰府市)は、牧場で育てた乳牛から生乳を搾り、自社工場へ運んで瓶詰めし、出荷する。観光牧場ならいざしらず、大規模に搾乳から牛乳出荷まで一貫して手掛ける会社は、全国でも数社ほどという。見学は無料で、地元で愛されて続けて70年余。牧場と工場を見て回り、牛乳にかける熱い思いに触れた。【野呂賢治】
筑前町の牧場は約10ヘクタールあり、5分の4が牧草地だ。約200頭の乳牛がおり、9人の職員が住み込みで牛の世話をしている。繁殖も行っており「牛にストレスをかけないように育てている」と牧場次長の近藤博昭さん(31)が目を細めた。
永利牧場では1日朝夕の2回、約3000リットルが搾乳される。その後、小型の自社タンクローリーで太宰府市の工場へ運ばれる。「昔はどこの牧場でも自分たちで乳を搾ってそれを瓶に詰め売っていた。そんな牛乳を今でも目指しています」。1942年に創業した故・永利嘉作さんの孫で専務の長谷川章子さん(57)は話す。
2000年に完成した太宰府市の工場には銀色のパイプが張り巡らされ、タンクローリーで運ばれた牛乳がどのような流れで消毒され、瓶詰めされるかを順を追って見学することができる。
製造ラインでは、きれいに洗浄、殺菌された牛乳瓶が整然とラインに乗って流れていた。ライトにあてた瓶を目視で確認。その後赤外線を使った最新鋭の機械でチェックし、異変がないか確認されたあと、空の牛乳瓶があっという間に白い牛乳で満たされていく。牛乳が注がれた直後にふたがされる様子も間近で見学できる。
「この業界、一度の失敗が命取りですから」と社長の長谷川敏さん(58)。工場内には検査室も設け、安全管理は徹底している。1日に約3万リットルの牛乳が作られ、福岡、宮若、飯塚市などの小中学校200校以上の牛乳給食としても届けられる。
一般的な牛乳は県の指定団体がエリアごとに酪農家を回って牛乳を集め、乳業メーカーに販売する「一元集荷多元販売」という形式で作られている。つまり、さまざまな牧場からの生乳がブレンドされている。永利牛乳でも自社牧場以外はこの形式で、全体の9割にのぼる。
濃い割にさらっと飲める昔の牛乳の味として愛され続けている「永利牧場の牛乳」。震災原発事故後は東北、関東から「牛乳を送ってくれ」と問い合わせも殺到した。当初は輸送に時間がかかり送料が高く付くということもあったため断っていたが、大手運送業者と連携。今も継続して購買する家庭がある。
「牧場自体は赤字。だけどここがうちの原点。ずっと続けていきたいんです」と章子さん。“こだわりの牛乳”の向こう側に思いをはせながら口にすると、心なしか、少しだけ濃く感じた。
工場、牧場の見学の申し込みは1週間ほど前に予約が必要。問い合わせは092・922・2133。
ー以上、引用終了ー